No.29 ☆ ホタルの発光周期に異変が起きている・・・・
夏の風物詩であるホタルの話題は 毎年 新聞やテレビで報道されますが 今年はホタルの発光周期に異変が起きているのでは という報道を何度か目にしました。日本のゲンジボタルは 東日本型と西日本型で発光周期が異なることが 解っていて 東日本型は4秒間隔で 西日本型は2秒間隔で点滅発光することが知られています。
ホタルの愛好会などの調査によると 東京都内でのゲンジボタルを調べたところ なんと8割が2秒間隔で光る 西日本型であるという報告もあるとのことでした。原因は都内で行われる ホタルの鑑賞イベントで西日本の養殖業者から手配することが多いことによると考えられているようです。
現在では 生物多様性基本法という法律によって 他地域からの移送もできないことになっていますが 時すでに遅し ということで 関東でも西日本型のゲンジボタルが多く見られるとのことです。外来種というのは 海外からのものという認識がつよいですが 国内間の移動も地域固有の特性に影響を与えるということです。
また長野地域のホタルの中には 3秒間隔で光るホタルも見つかっており 東日本型でもなく 西日本型でもない新たなグルーブが発生しているとのことです。今までの研究では 遺伝の法則として交雑しても その子供はメスと同型の発光周期を持つものが生まれると考えられていることから 交雑の他にも原因があるのではと推察されています。
3秒周期のホタルのほかにも 輝度の弱いホタルも紹介されていたのですが こちらはエサとなる淡水巻貝のカワニナの代わりにカワニナに似た コモチカワツボというニュージーランド原産の外来種を主食にしているグループで 成虫になる割合も低い上に 成虫での発光輝度も弱いというものでした。
コモチカワツボとカワニナでは見た目は似ているものの コモチカワツボはミネラル分を体内にとどめる機能に乏しく 要は カワニナほどホタルに必要な栄養分を貯えていないということのようです。その結果 発育不良のホタルの発生に繋がっているということのようです。
このコモチカワツボもきっかけは ホタル保存のために カワニナがいなくなった地域が 繁殖力のあるコモチカワツボをホタルのエサにしたことに起因するようです。当時は 代替として問題ないと判断したのでしょうが 結果はカワニナほどの栄養価はなく 繁殖力が強く 本来の生態系に影響を与えるだけのものになりました。
外来種が増えて 本来の在来種が危機に晒されている そのおおもとは人間の手によるものです。気象異常 地球温暖化の傾向が強まれば ますます生態系が崩れるおそれがあります。外来種の広がりを抑えることは 困難ですので現在 外来種の進入のない地域の把握と保護を推し進める必要があります。
こぼれ話 No.10 でもホタルの光る仕組みについて触れましたが 折角なので あらためてホタルの光る仕組みについて記しておきます。ホタルが発光するのは 発光物質の「ルシフェリン」が発光酵素「ルシフェラーゼ」と「アデノシン3リン酸」と反応して発光作用が起こり その光が反射層に当たって放たれるという仕組みから成り立っています。
ホタルの光は 560nm(ナノメートル)の波長で光ります。ちなみに 蓄光原料のグリーンの波長は 520nm くらいですので 緑色というよりは黄色の光という表現のほうが近いという感じです。その光は ほとんど熱をもたない冷光(れいこう)と呼ばれるものです。
最後に 東日本型と西日本型のゲンジボタルでは 発光周期だけでなく 発光のピークとなる時間が異なるそうです。東日本のゲンジボタルは19時45分頃で 西日本では20時30分頃が 最も発光活動が盛んになるとのことです。自然の営みには 不思議なことが多いものです。ホタル鑑賞にはこの時間に合わせて行きましょう・・・って もう時期的には遅いかもしれません。
2010.8.5号
原稿担当:発光システム研究会会員
竹中 直(チョク)