No.28 ☆ いつから 蓄光標識にJIS規格の基準ができたのでしょうか?・・・・
サッカーワールドカップはスペインが優勝して幕が降ろされました。ちなみにユニフォームはアディダス(スペイン) 対 ナイキ(オランダ)という順当な組合せとなりました。次回2014年ブラジル大会にも本大会に出場してもらいたいものですが・・・ 予選突破だけでも大変なことを忘れさせてくれるほど 今回のJAPANは強かったという印象です。折角 代表メンバーの顔と名前が覚えられたのに残念ですが 充分楽しませてもらいました。
7月の研究会でホームページのQ&Aとこぼれ話の説明をさせていただいたのですが ペースが上がらずようやく Q&Aの説明を終えたところです。こぼれ話やひろい話に掲載したことへの ご質問やご意見などはいつでもお受け致しますので 疑問に思われていることがあれば ご連絡ください。
講話の中で蓄光標識のJIS基準に触れましたので この機会に蓄光標識とJIS規格の流れを整理しておきたいと思います。はじめて日本工業規格(JIS規格)に蓄光標識の基準が制定されたのが 1987年(昭和62年)のことで JIS Z 9100 蓄光安全標識板 として定められました。数字としては20分後 3mcd/m2 というもので 現在の数値からすれば 60分後のJAの7mcd/m2にも満たない数字です。
当時は 酸化物の蓄光原料の出現で残光性能が向上したということが画期的なことであり うたい文句として長残光性という言葉が生まれたのですが 20分後3mcd/m2 というのが当時としては最高レベルだったということです。硫化物の蓄光原料が中心だった時代ですので 残光性についてはあまり期待感のなかった時代背景がありました。
この基準の元になったのが ドイツ工業規格 DIN67510 長残光性顔料と製品 といわれているのですがその中に「0.3mcd/m2に達する点を以って 視認可能終末点とする」という文言があるのですが 視認距離や視力についての翻訳部分が残ってなく(筆者が目にしていないという意味です) 0.3mcd/m2 あれば人間は視認できるという解釈となって広まってしまっています。
0.3mcd/m2 で見えるという視認データを見たことはないのですが 現在使われている輝度計では1mcd/m2以下のものは計測できませんし 機械誤差として2mcd/m2以上の数字があることからすれば 数値の信頼度は低いと思われます。おそらく医学検査で目の機能として 0.3mcd/m2まで感知能力があるという翻訳のほうが理解できると思っています。
また話がそれてしまいそうなので 元に戻しますが このJIS Z 9100は 1992年に確認されたということになっています。JIS規格というのは 新しく制定されたものに対して 5年以内に 改訂 確認 削除のいずれかの判断を要することが義務付けられています。 確認されたということは 最初に制定されたもので実状に見合うという判断であり はじめてJISとしての信頼性を持つということになります。
そのまま1998年まで推移するのですが 1998年(平成10年) JIS Z 9100は廃止となり JIS Z 9107 安全標識 に統合されることになりました。この時点で20分後 24mcd/m2 60分後 7mcd/m2 という数字が設けられました。この改正で はじめて60分後の数値が定められたわけです。
9100には測定する標識の大きさが7cm×15cmと定められていましたが 9107に統合された段階で 標識の大きさに関しては 指定がなくなりました。大きさが一定のものに対して 輝度を測るということは 輝度が高ければその性能も高いと判断できますが 大きさがまちまちのものを 同様に測定しても優劣判断のデータとしては信頼しにくいことになってしまいます。
測定機器の構造 考え方からすれば 問題はないという判断なのでしょうが 同じ蓄光商品をマスキングなどで 蓄光面積に変化をつけて測定すると 蓄光面積の大きいほうが良い数字がでます。輝度測定部分の面積は25mm径~30mm径くらいのものですが 面積の大きいものの方が 周りの明かりをひろっているため 数字が高くなると考えられます。
2008年(平成20年)に今の基準 最高値のJDで20分後 200mcd/m2 60分後 60mcd/m2 となっており さらにJEやJFの基準設定の検討が現在なされているとのことです。ミリカンデラ(mcd)ではなくカンデラ(cd)の基準ができてくるかもしれません。1987年に3mcd/m2 だった数値が2008年には200mcd/m2でほぼ66倍になっています。この20年の蓄光商品の輝度レベルが上がったという数字でもあります。
JIS基準と測定方法の流れからみれば 問題があるわけではないのですが 現時点の蓄光原料のレベル及び加工技術のレベルから考えれば やはり蓄光性能基準は 商品自体の光度基準にすべきだと考えます。商品自身がどれだけの光の強さを持っていて どれだけの視認度があるかという基準が必要という意味です。
ところどころに余計な説明を入れてしまったので 分かりにくくなってしまいましたが 蓄光標識とJIS規格の推移は下記の通りです。
| 年号 |
JIS番号 |
表題 |
20分後 |
60分後 |
|---|---|---|---|---|
1987年 (昭和62年) |
JIS Z 9100-1987 |
蓄光安全標識板 |
3mcd/m2 |
- |
1992年 (平成 4年) |
JIS Z 9100-確認 |
蓄光安全標識板 |
3mcd/m2 |
- |
1998年 (平成10年) |
JIS Z 9107-1998 |
安全標識 |
24mcd/m2 |
7mcd/m2 |
2008年 (平成20年) |
JIS Z 9107-2008 |
安全標識 |
200mcd/m2 |
60mcd/m2 |
「見える」ということに対しては 必ず 距離と視力や周辺の明るさなどの条件を加えなければならないのですが 曖昧になっているものが多く どうしてもデータの数字の信頼度が低いものになってしまっています。20分後3mcd/m2と200mcd/m2にどれだけの安全性の違いがあるのかという検証も必要な気がします。
次のサッカーワールドカップの年には JIS規格の基準はどうなっているでしょうか・・・・(誰もそんな結び付け方しないでしょう!!)。ご質問 ご意見などありましたら こちらまで contact@lumi-system.jp 次回もお楽しみに!
2010.7.20号
原稿担当:発光システム研究会会員
竹中 直(チョク)